『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』(ドラゴンクエストセブン エデンのせんしたち)は、2000年(平成12年)8月26日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)より発売されたプレイステーション用ゲームソフト。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。
北米では "Dragon Warrior VII" として2001年に発売されている。
ドラゴンクエストシリーズの第7作。移植作品を除けば、同シリーズのナンバリングタイトルで初めて任天堂以外のゲーム専用機向けに開発・発売された作品である。開発はハートビート、アルテピアッツァが担当した。日本のプレイステーション用ソフト歴代出荷本数第1位である。キャッチコピーは「人は誰かになれる」。
たった一つの島だけしか陸地が存在しないという世界が舞台となり、その島に住む主人公たちが、とあるきっかけから遺跡に潜り込んで不思議な石版のかけらを発見し、この石版のかけらを集めることによって見知らぬ土地に移動し冒険をしていくという物語である。ストーリーはほかのドラゴンクエスト作品と比べると長く、シナリオはA4サイズの文書16,000ページ分に及んだ[2]。スタート時に島が一つだけという設定となったのは、過去の作品で世界が肥大化してきていたので本作は一つの島で物語を始めようという堀井の発想によるものである[3]。
対象ハードがプレイステーションになったのに伴い、グラフィックにはナンバリングタイトルで初の3Dポリゴンが採用された。また、ストーリー中の何か所かにはムービーが挿入されている。モンスター図鑑、モンスターパークといったコレクションシステムや、多数のモンスター職が登場したことなどにより、やり込み要素も多くなっている。
本作のキャラクターデザインの特徴として、頭身が小さくなり、彩色がアナログ調からCG塗りに変更されるなど、従来の『ドラゴンクエストIV』『V』『VI』とは趣の異なったものとなっている。
発売後には、本作を基にした漫画『ドラゴンクエスト エデンの戦士たち』(藤原カムイ作)が連載されたほか、小説化も行われている(小説ドラゴンクエスト参照)。2003年には、本作の登場人物「キーファ」の幼年時代を描いたスピンオフ作品として『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』が発売された。
[編集] 主なスタッフ
[編集] ゲームシステム
本作は重要アイテムである「ふしぎな石版」を集めることによってストーリーを進める形式がメインだが、それについての詳細は世界設定の節で述べる。
「ドラゴンクエストシリーズ#ゲームシステム」も参照
[編集] 移動画面
移動画面はポリゴンを採用した俯瞰視点の3Dマップとなり、町やダンジョンでは、コントローラを使って視点を360度回転する機能、上空から広域を見渡す機能が追加された。視点を変えないと存在を確認できない宝箱や扉なども多数登場した[4]。ただしキャラクターや、建物以外の多くのオブジェ(木、花、持ち上げられる壷など)は、ポリゴンではなく2Dテクスチャとして表示されている。主人公たちメインキャラクターは、本作からは斜め方向に移動できるようになったことから、前後左右と斜めの8方向のグラフィックが用意され、それ以外のキャラクターには前後左右の4方向のアングルのグラフィックが用意された。この手法は後のPS版『IV』やニンテンドーDSでのリメイク作品にも受け継がれている。
主人公たちの前に人がいないときに「はなす」のコマンドを使うことで、主人公に同行しているキャラクターと会話ができるようになった[5]。メインキャラクター・サブキャラクターを問わず会話をすることができる。話をする仲間が誰かはランダムで、そのときの状況に合った話をする(話題が無い場合は「…」となる)。特定のタイミングで特定の条件を満たさないと聞けない話もある。また、壷や樽などを「べんりボタン」で持ち運んで投げることができるようになり、このアクションを生かしたダンジョンの謎解きも用意されている[5]。
前作『VI』同様、イベントで夜のシーンになることはあるが、『III』~『V』に存在した昼と夜が切り替わるシステム(フィールド上の歩行若しくは呪文)は採用されていない。
[編集] 乗り物
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- 船 - 主にDISC1時に使用する。廃船になったアミット漁の漁船を主人公とキーファが修理したもの。乗り込むことで現在世界の海上を移動する。海賊船が使えるようになると登場しない。本作はゲームの流れ上、『ドラゴンクエストIX』までの作品中最も早いタイミングで船が手に入る。
- 魔法のじゅうたん - アイテム「魔法のじゅうたん」を使うことにより、平坦な地形の上を低空飛行する。現在世界でのみ使用可能で、石版の中の過去の世界では使えない。
- 飛空石(ひくうせき) - 内部が空洞になっている、空を飛ぶ不思議な石。乗り込むことで現在世界の上空を地形に左右されることなく飛行する。持ち運びはできない。
- 海賊船 - 海賊マール・デ・ドラゴーンの巨大な双胴船で、武器屋・防具屋などの多数の施設を備えている。当初は大陸間を自動的に移動するだけだが、最終盤になると、現在世界の海上を自由に移動できるようになる。この船に乗っているときの戦闘では海賊たちが戦闘に参加して援護砲撃などを行う。
- イカダ - 主に町やダンジョン内で使われる水上移動の乗り物であるが、あるイベント中ではフィールド上の移動手段として用いられる。
この中で、船、飛空石、海賊船の3つの乗り物は、移動呪文「ルーラ」を使った場合に移動した場所に対応する場所に自動的に移動する。
[編集] パーティー
本作では、前作で存在した、戦闘に参加するメンバーを入れ替えるための馬車は登場せず、モンスターをパーティーに加えるシステムも廃止された。(ただし、新要素の「モンスター職」により登場人物たちがモンスターの力を得ることは可能)登場するメインキャラクターは主人公を含めて6人だが、シナリオの流れでパーティーメンバーが4人を上回らないように自動的に加入・離脱をするようになっているため、パーティーメンバーは基本的に3~4人で固定である。ただし、終盤ではメンバーが5人になるため、特定の場所で主人公以外のメンバー1人を任意に待機させられるようになる。劇中では、前述の乗り物「飛空石」には4人までしか乗れないから、という理由が示されている。
シナリオの進行に応じて、メインキャラクター以外のキャラクターが主人公たちに同行することがある。これらのキャラクターには戦闘に参加するものとしないものとがある。戦闘に参加する場合、HPやMPは表示されず、命令もできないが、基本的に死亡することはない。しかし、メインキャラクターが全員死亡すると、サブキャラクターが生き残っていても全滅扱いになる。戦闘ではメインキャラクターたちとサブキャラクターは別のグループになっており、モンスターのグループ攻撃をメインキャラクターたちが受けた場合、サブキャラクターは攻撃を受けない(その逆も同様)。特技「しょうかん」「げんま召喚」で呼び出された精霊・幻魔も同様の扱いとなる(前述した戦闘に参加するタイプのサブキャラクターがいる場合は召喚 できない。また、こちらはHPが限られており、死亡または戦闘終了によっていなくなる)。 なお、プレイヤーは支援系の呪文や特技を使用する際にこれらのサブキャラクターを対象指定することはできないが、AIに行動を任せるとサブキャラクターに対しても回復や支援を行ってくれるようになる。
[編集] 職業・転職
「ドラゴンクエストVI 幻の大地#職業・転職」も参照
前作『ドラゴンクエストVI』で採用された転職システムが継承された。本作での職業については後述)。基本的なルールは前作と同じだが、以下の新要素が追加されている。
[編集] 職歴
本作では職歴という要素が追加され、ステータス画面で職歴を見ることができるようになった。また、前職と現在の職業の両方の長所を生かした呪文や特技を習得できるシステムが新たに搭載された。転職後に現在の職業のレベルが★5つまで上がる(「いたについてきた」と表示される)か、前に一度やめた職業に再転職してかつ再転職後に一定回数戦闘する(「カンがもどってきた」と表示される)かのいずれか条件を満たすことにより、新たな呪文・特技を習得できることがある。いずれのケースも前職・現職両方の職業レベルが★5つ以上であることが条件である。この際の転職の順序は順不同で、覚える呪文・特技は職業の組み合わせごとに定められているが、覚える呪文・特技のない組み合わせもある[7]。
[編集] モンスター職
本作では人間職20種(基本職10種、上級職10種)のほか、モンスターの心(「スライムの心」「キメラの心」など)を手に入れることによって転職が可能となるモンスター職が34種登場している。モンスター職の中には人間職では覚えられない特技を習得できる職業もあり、モンスター職をマスターすると、フィールド上でのキャラクターの外見がそのモンスターの姿になる[8]。
モンスターの心はモンスターを倒して入手するほか、宝箱から入手する、カジノの「ラッキーパネル」で入手するなどの方法がある[9]。モンスターの心を持っているキャラクターのみが該当するモンスター職へ転職することができ、転職後はモンスターの心は消滅する。また、モンスター職でも人間職と同様、複数のモンスター職をマスターすることによって転職が可能となる中級職や上級職が存在する[8]。